大晦日の話



 大晦日、早朝。


 高速は空いていて快適。運転していて楽だが、味気ない。ポリたんが宝の持ち腐れだ。


 到着したけど、満車寸前。人が動いている。


 街も動き出している。


 やって来ました中部国際空港セントレア。


 旅立つ旅客機と働くおじさんを見て、海辺を散策して、街の息吹を感じる1日の始まり。


 同志のみなさんも風に吹かれている。名古屋だからと高を括って来たが、中々の寒さ。


 おおぅ。間近にプロペラ機がいるぞ。


 次々とバスが来て、客が乗り込んで行く。整備等もあるし、1機飛ばすのに何人のおじさんたちが関わっているのやら。


 へぇー。エンジンは片側ずつ火を入れるのか。同時じゃないんだ。


 俄に活気づく運ちゃんたち(パイロットな)。


 動き出したぞ。


 離陸の列に並んで


 いってらっしゃい。


 勝って帰れよ(何にだよ)。


 セントレアは人工島なので船も走るし背後には雪山も見えるロケーション。


 国際空港なので


 海外に旅立ったり


 国内に向かったり。


 おじさんたちも忙しい。



 らぁーい、らぁーい、


 すとーっ。


 はい、校長先生からお話があります。


 よし、次ゆくぞ。


 こっちは任せろ。


 それ、遅れをとるな。


 がんばれ、おじさんたち。校長の話は長いぞ。


 旅客機間近に見るのは伊丹空港の千里川土手以来だけど


 こちらも趣きがあって


 いいね。


 船舶と雪山を従えて飛び立つ姿は、見応えがある。


 さて、空港の中を巡ってみるか。


 賑わいが戻って来て人手不足なのか求人している。


 どれ、働いてみるか。通えないか。


 ジブリパークも出来て、熱いな愛知。寒いけど。


 海辺を歩くとするか。


 久しぶりの電車。気分が上がるね。


 若者よ、これが切符だ。切符とは電車のチケットのことだ。


 南国感出してんな、常滑海岸。長崎より出してんな。


 朝の海辺は清々しい。走る、歩く、釣る。人々が集う。


 離陸した旅客機も拝める。


 梅ヶ丘にいた頃は、上野に足を伸ばしていた。映画観た帰りによく不忍池を周回していた。なんだろ、今思えば息苦しかったのかな。


 さあ、大晦日の夕景はどうだろう。


 良さそうだ。


 ゆく人、くる人。


 情緒があるね。


 1日が終わる。2022年が終わる。


 そうこうしていると


 龍だ、龍が出た。眼が光っている。


 大きく口を広げて


 みんな飲み込んでしまえ。
 馬鹿な取り決めも
 きな臭い約束も
 みんなみんなその大きな口で
 飲み込んでしまえ。
 そしてその尾で大風を起こして
 塗り重ねた嘘も
 偽りの優しさも
 空の彼方へ吹き飛ばしてしまえ。


 壊れる、龍。飲み込んでくれたか、期待し過ぎた巨神兵だったか。


 一日一善。小さな事で良い。毎日ひとつ良い行いをしよう。そして、それが当たり前になった時、世の中は少しだけ変わっているはず。そう信じて。


 帰路の国道は実質ワインディング。ポリたんが水を得た魚のようだ。無事に帰宅して旅はおしまい。
 始まりました2023年。さてさて、どうなることやら。



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